11月は旧暦で霜月(Shimo-tuki)と呼びます。11月は文化祭や収穫祭などもある時期です。伝統行事では「酉の市」が賑やかに行われる時期です。霜月は「霜の月」の意味です。文字通り「霜の降る月」という解釈でよいと思います。農作物の収穫時期ということからか、「おしものづき(食物月)が語源とする説もあります。
酉の市(とりのいち)
11月の酉の日(月に2,3回あります)に、鳥に関連する神社で多く行われるお祭り。縁起物のゴージャスな熊手が売りに出されることでも有名です。ページトップの写真は目黒(東京都)の大鳥神社です。東京浅草の鷲神社も有名。大鳥神社・鷺神社など、関東に多く存在する鳥と名のつく神社で多く行われます。
大鳥神社の祭神は主にヤマトタケル(死んだ後に鳥になって昇天した伝説あり)やアメノホヒなどです。
そもそも酉の日(とりのひ)ってなあに?
年賀状に出てくる十二支と十干という枠組みを使った昔の日付表記です。
「月火水木金土日」という曜日があるのと同様に、昔のカレンダーには「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」という文字が並んでいたとイメージしてください。曜日は7個ですが干支は12個あります。曜日は7日で1周しますが、干支は12日で1周します。
なので、1ヶ月30日とすると、酉の日は12日ごとにやってくるため、酉の日が月に2回の場合と3回くる場合とあるのです。
(例えば、11月1日が最初の酉の日だった場合、11月13日、11月25日、と酉の日になります。11月8日が最初の酉の日だった場合、11月20日、11月32日(というのはないので12月)、が酉の日になります)
昔の時刻表記
昔の世界で十二支が使われていた例としては、時刻の表記も十二支でした。
現代語でも「午後」とか「午前」って言葉がありますが、「午(うま)の刻」より前か後か、という話だったのです。呪いの藁人形の怪談でよく出てくル、「丑(うし)三つ時」は午前二時くらいです。
時間表記をざっくり十二支でやると
「子の刻(0時)・丑の刻(2時)・寅の刻(4時)・卯の刻(6時)・辰の刻(8時)・巳の刻(10時)・午の刻(12時)・未の刻(14時)・申の刻(16時)・酉の刻(18時)・戌の刻(20時)・亥の刻(22時)」
となります。
新嘗祭 (=収穫祭)
11月23日の祝日は現代では勤労感謝の日という「労働組合万歳の日?」的な名前の祝日になっていますが、もともとは新嘗祭といって収穫を神に感謝するお祭りの日でした。
ネーミングが変更になったのは、第二次大戦の敗戦後に日本が米軍をはじめとするGHQの占領を受けていた時に、占領政策によって名前が変更されたためです。これが占領終了後もなぜかそのままになっているというのが名前が少し翻訳文的な伝統行事らしくない祝日がある理由です。
なお、紀元節(=建国記念日)と並んで言えることなのですが、実は日付設定にはそれほど深い意味はありません。明治時代に昔の暦を西暦に変換した時に「とりあえずその日にした」ものがそのまま定着したくらいの認識でよいです。
行事の日付というと、どれも「意味がある」ように思われがちですが、中にはもともとたいした意味がないものもあれば、意味が失われて分からなくなった物、実はしっかり合理的な意味があるもの、色々なパターンがあります。
「伝統で楽しむ」というのは「もとの意味を想像する」という視点もあると、さらに楽しく遊べます。