現代日本では、自宅や事務所に神棚をおかないことが多くなっていると聞きます。ただ、「神社に祭られる神様にお祈りする」という習慣が完全に消えているのかというとそうでもなく、初詣の混雑ぶりをみてもわかるように、機会があれば神社やお寺などの「祈りの施設」を訪問する人はたくさんいるわけです。神棚のある暮らしというのは、たとえば神棚のデザインに関する思考を変えていけば簡単に取り入れることができるのではないでしょうか。
なんでも親世代や祖父世代の「当たり前」を継承する必要はありません。必要に応じて変えるべきは変えて残すべきは残していくから「伝統」は常に魅力を失わないのです。
よくある神棚のデザインは、お宮の模型です。「神棚を自宅に」という習慣は江戸中期からはじまる比較的新しい習俗です。ではお宮の建築スタイルがいつ頃から始まったかというと、こちらは仏教伝来(6世紀)以降と考えられています。昔の神社に今のような「建物」はありませんでした。「山そのものがご神体」みたいな発想が主流だったからです。例えば、奈良県の三輪神社などは今も昔ながらの「山そのものがご神体」という発想を継承しています。
さて、江戸時代以来のミニ神社な神棚デザインはこれはこれでよいものです。が、仏間ならぬ神間、神殿設置用の部屋やミニスペースがないと、現代の住宅事情では飾りにくいというのはあると思います。
現代日本の都市部では家がどんどん狭くなっています。「日本の住宅事情はウサギ小屋」と自嘲される所以です。そこに江戸時代的な昔ながらの家を想定してデザインされた神棚を置くとなると、設置スペースが大きくなりすぎて大変です。
であれば現代的な空間にあうものを、ということで最近はデザイン神棚と言うべきものがいくつか出ています。この辺りはうまく使えば、現代のマンションにも調和しますのでおすすめです。
例えば 稲生一平デザインのシンプルな神棚、OFUDA-DEN などはかなりいい雰囲気です。
稲生一平/桜製作所/神棚 OFUDA-DEN【02P08Feb15】 |
仏壇もモダン家具みたいな仏壇がたくさん出ていますが、神棚も探せば現代の住宅事情にあったものは存在しています。
仏壇や神棚というのは「別になければないでいい」という類のものではあります。祈りというのは別にいつでもどこでもできるからです。が、神社が好きな人はやはり欲しくなると思いますので、「自宅の雰囲気に調和したもの」を選ぶとよいでしょう。形式によってご利益が違うみたいなものはありませんので、美しいと感じるものを選ぶのがよいです。