5月は旧暦で皐月(sa-tuki)と呼びます。伝統行事では「端午の節句(こどもの日)」があります。なぜ「皐月(さつき)」かというと諸説ありますが、「早苗月(さなえつき)」すなわち田植え月が短くなって「さつき」になった説があります。
端午の節句
菖蒲(しょうぶ)の節句とも言われ、5月5日に祝われました。現代では、女の子のお祭りのひな祭り(桃の節句、3/3)と対になって、男の子のお祭りとして祝われます。鎧甲やこいのぼりを飾る習慣があります。(ほかには、1月7日、3月3日、5月5日、7日7日、9月9日が、五節句とされています。)
なぜ男の子のお祭りになったのかというと、菖蒲(しょうぶ)は尚武(しょうぶ)に通じる、菖蒲が剣を連想させる、などの発想があったようです。
ちなみに菖蒲やカキツバタは英語でいうとIRIS(アイリス)になります。こちらの西洋の紋章はアイリスの様式化と考えられていますがこれも剣っぽくなっているので参考に。
この紋章、フルール・ド・リス(仏語:fleur-de-lis )は、百合の紋という意味ですが、実際はIRIS(アイリス)の花を様式化したものではないかと考えられており、フランス王家の紋章として有名です。
ちまき・柏餅
端午の節句の食べ物として、ちまきや柏餅を食べるところがあります。
ちまきは平安時代に中国大陸から伝わったもので、もともとはお米を使った保存食的な食品。もち米やうるち米、米粉などで作った餅、もしくはもち米を、三角形に作り、ササなどの葉で包み、イグサなどで縛った食品。ササの葉でつつむのは竹の殺菌力を利用したものです。
現代では、お菓子的なものと、昔ながらの携行食の雰囲気を残したご飯的なもの、と大きく二種類が売られています。非常にざっくり言うと、中華屋さんで売られているものはご飯系、和菓子屋さんで売っているものがおかし系、スーパーではどちらも売ってます。
柏餅(かしわもち)は、平たく丸めた上新粉の餅を二つに折り、間に餡をはさんでカシワの葉などで包んだ和菓子です。柏の葉は、新芽がでるまで葉がおちないので常に若くて元気、という縁起かつぎで柏の葉を使ったものと言われます。「子孫繁栄」的な願いが込められていると言われています。
葵祭
源氏物語の時代から続く、優雅なお祭りです。京都市の賀茂御祖神社(下鴨神社)と賀茂別雷神社(上賀茂神社)で、5月15日(陰暦四月の中の酉の日)に行なわれる例祭になります。平安貴族の装束での絵巻物のような行列が有名です。
源氏物語では葵祭の行列を見物するために、「車争い」が起きるシーンがあります。要は、行列を見物するための場所取りでのケンカです。しかも、正妻(葵の上)と愛人(六条御息所)のケンカという恋愛小説らしい設定でなされます。
>>葵祭(youtubeより)
鎧甲のアイテム
もちろん伝統的な五月人形もよいのですが、こういう遊び心あふれるアイテムを作っている会社もあります。
映画「スターウォーズ」シリーズの中で、日本文化的なデザインがあちこちに使っているのはファンの間では有名な話です。アイディアの里帰りでベーダー卿のカブトを日本人形にしたものも作られているようです。
マニア商材なので上記商品がいつまで売っているかは謎ですが、伝統文化を生活に取り入れるという意味では、この種の遊び心がかなり大切だと思います。
菖蒲のアイテム
端午の節句にちなんで、 菖蒲湯に入る習慣があります。これは、スーパーなどでしょうぶが売られるのでそれを使うのがお手軽でしょう。
なお、菖蒲は英語にするとIRIS(アイリス)でもあるので、アロマテラピーのアイリスやイリスの精油などを使って気分を楽しむのもいいかもしれません。(日本種とヨーロッパ種の厳密な品種違いはあまり気にせずにいきましょう。なお、アイリスとイリスの違いは英語読みするかイタリア語読みするかというだけの違いです。)