ボトルキープという仕組みはカタカナ語ですが、実は和製英語です。この習慣は日本独自のものになります。酒を売っているように見せて、実は「雰囲気」や「コミュニティー」を売っているのが面白い所です。バーは酒だけでなく、空間と縁を売っている場所なのです。誰がはじめたのかはよく分かりませんが、ボトルキープは日本初のすごい発明だと思います。
ボトルキープの仕組み
長期保存にも適したウイスキーなどをボトルで買って何回も飲めるというシステムです。例えば、通常で一杯千円から二千円の酒が、瓶で買えば一万五千円~五万円くらいで売っているわけです。そして3ヶ月とか半年とか一定期間内なら何回でも保管しておいたボトルから酒が飲めるという仕組みです。
お店側からすると、最初にまとめてお金が入るという利点があり、客側からすると、単に安いというだけではなく「自分の店」というコミュニティー感覚をもって使える利点があります。
麻生元総理は帝国ホテルのバーでバランタイン17年をキープしていたそうです。このお酒はボトルキープだと、当時は25000円前後だったようです。これで水割り20杯分とすると、場所代を考えると相当のお得感といえます。
例えば、20杯を一杯2000円で飲んだら、4万円台です。もちろん酒屋で酒だけを買って家で飲めば1瓶5000円とすると1杯250円くらいです。ただ、自宅にはバーテンダーのサービスや会話も、バーの雰囲気も通常はありません。雰囲気を楽しみたいいのか、単に酒の味を楽しむだけでいいのか、という需要の違いがあります。
ボトルキープという方式は、エステや英会話教室などの他の業種に例えると要は回数券システムです。最初にまとめて払えば、途中で(ほとんど)お金がかからないという方式です。
ただし、回数券が実用品の域を出ないのに対して、ボトルキープは『別の楽しさ』を演出することに成功しています。ボトルキープで飲んでいる常連同志はなんとなく仲間意識ができることがあります。「俺(わたし)の場所」という安心感を気軽にもてるのも良いところです。
また、ボトルが入っていると「最初にお金を払えば、その都度ではほとんどお金をはらわなくていい」というのもキモです。こうなると、客側のほうで「気軽に友人に酒をおごる」という現象がおきだします。「まあまあ、行きつけの店があるから一杯どうよ。(ボトルならガンガン飲んで良いよ)」ということができるわけです。
つまり「勝手にお客さんがお客さんを連れてくる」というソーシャルな仕組みにもなっているわけです。しかも「一言も店側が紹介の依頼をすることなく」です。
英米における会員制クラブのようなものが(庶民向けには)あまり存在しない日本における、いい具合の「ゆるゆるな会員制クラブ」のような存在になっているのが、ボトルキープというシステムのすごい所だと思います。
自分が好きなボトルを買うだけで常連会員的な存在になれる、ただし会費は3ヶ月3万円とかで興味がある人しか払わない金額、この絶妙な間口の広さが成功の秘訣なのかなと思います。
自宅でもウイスキーを飲む
さて、バーで飲むのも雰囲気がありますが、ときには家で飲むのもよいものです。
バランタイン17年も美味しいですが、ここでは日本産ウイスキーの定番を紹介します。昔の国産ウイスキーは低品質と言われていました。が、最近は世界に冠たるレベルにあがってきています。西暦2014年~2015年にはNHKの朝ドラ「マッサン」でウイスキー作りのドラマが話題になりました。
山崎
白州
せっかくですので、グラスも国産で探してみました。
カガミクリスタル 校倉
校倉は校倉造りという正倉院などの 建築にインスピレーションを得てつけられた名前のようです。確かに言われてみれば下記と少し似ている気もします。
ウイスキーの水割りをするなら、都心に住んでいる人は浄水器かミネラルウォーターも使ったほうが美味しくなるでしょう。
FUJI 富士ミネラルウォーター