それにつけてもカネのほしさよ。これはどんな和歌の上の句にもくっつけられる万能の下の句として室町時代の連歌師、山崎宗鑑が使い始めたらしい名言です。
何を言っても「それにつけても カネのほしさよ」とくっつけてしまえば和歌としてオチがついてまとまるということです。
人間五十年下天のうちを比ぶれば それにつけても金のほしさよ (前半は幸若舞敦盛 信長が好む)
四方の海 みなはらからと思ふ世に それにつけても金のほしさよ (前半は明治天皇 昭和天皇が引用した)
などなど、適当にはめてみましたが貨幣がある世界の上の句なら、ほぼなんでもはまると思います。
人間の欲求を段階なものとして整理したマズローの欲求5段階説によると
1.生存欲求
2.安全欲求
3.社会的欲求
4.尊厳欲求
5.自己実現欲求
と生存欲求から自己実現欲求へと、人間の欲求は段階的に高まっていきます。ようは、衣食足りて礼節を知る、まずは自分が食べていきたいというのがあって、その後に色んなものがくる、ということです。
で、カネが欲しいというのは 「衣食住には困らないようになりたい」という一番基本的な欲求に通じますので万能の下の句になるわけです。