はいからさんが通るというマンガがありますが、ここで舞台になっている大正時代というのはオモシロイ時代です。当時の建物も「歴史に接続した文化的美しさと近代的技術」がオモシロイ感じで融合しているのが、実は時代を超えた輝きを放つ部分です。
大正ロマンな世界観を使ったマンガ・ゲーム
まず大正ロマン的な世界を使ったマンガとゲームを2個ご紹介します。
はいからさんが通る
まあこんな雰囲気です。大和和紀の名作のひとつです。袴をつけた女子の着物スタイルをはいからさんと言うことがあるくらい有名なマンガのひとつです。
サクラ大戦
こちらはゲーム発です。主人公の洋装のカットと和装のカットをアマゾンの商品写真でひっぱってきましたが、これも雰囲気でています。(リンク先でアフィリエイトリンクになっています)
大正ロマン的な実際の建築
次に、大正ロマン的な世界を感じられる実際の建物です。
歌舞伎座
鉄筋コンクリート建築+天守閣的な屋根が乗っています。上の写真は、(1951年 – 2010年)のものです。大正時代のもの(下記)とほぼ同じ形をしています。真ん中の屋根がなくなったぐらいです。比べなければ気がつかないですが、なくなってみるとと大きい屋根が消えたのは寂しい気もします。浅草線の東銀座駅下車すぐです。
銀山温泉(山形の温泉)
おしんのモデル、千と千尋の神隠しの世界のモデル、としても知られる所です。山形県に現存しています。 純和風建築のように見えますが、よくよく見ると街灯は洋風だったりもします。電車で行く場合は、山形新幹線の大石田駅からバスがあります。
軍人会館 (現九段会館)
これもビルの上に桃山様式に天守閣的な屋根が乗っています。洋式の鉄筋コンクリート建築と日本文化的な土着的なデザインが綺麗に融合しているもうひとつの例です。東西線半蔵門線の九段下駅からすぐです。
この屋根つきにする形式はけっこう流行ったようなのですが、第二次大戦の敗戦後に「日本らしさ」的なものへの幻滅みたいなものがおこったのか、単に物不足の時代だったので無視されるようになったのか、「日本らしさ」的なデザインと近代技術のフュージョンという視点は、一時期完全に置き忘れた感があります。
高度経済成長時代の団地などが「大量生産の工業製品」的な部分ばかりが目立つのが良い例です。全く同じような箱が延々と並ぶという工業製品の大量生産品という雰囲気になっています。
昭和初期の同潤会アパート(初期の団地)には「かっこよさ・美しさ」が感じられる部分があり、表参道の同潤会アパート(今の表参道ヒルズ、一部復元されています)にはダストシュートまで備え付けられていたのとは対照的です。
文化的なものと先端技術の融合
ところで21世紀になってからは、大正ロマンの時代的な「文化的なものと先端技術の融合」というのは段々重視されるようになってきています。これはグローバル化が進んで国際交流が身近になったからでしょう。外国にないものが求められるようになるので、日本の歴史と接続した文化的なものの価値が上昇していったからです。
東京にもニューヨークにもローマにもあるマクドナルドよりも、東京にしかない地元な食材を使った寿司屋のほうが外国人観光客には受けるというのと似たような話です。
リッツカールトン東京やリッツカールトン京都などの高級ホテルがひとつの例ですが、これらの新しいホテルは日本文化的なデザインを上手に取り込んだ空間がデザインされています。東京オリンピックくらいまで時代が戻りますが、かつてのホテルオークラの本館(1962-2015)も校倉造りという平安期の建築を参考にデザインされていました。
「歴史に接続した文化的な美しさ」と「新しいテクノロジーや思想」が融合した先に、かつての大正ロマンのようにおもしろくて華やかな新世界がどんどん生まれてくる流れができてきているということです。