一応断っておきますが、この記事で特定候補者を押す予定はありません。ここ数ヶ月で政治に興味が出てきたくらいの人を対象に、考え方の参考を書きます。(書いてる人は、保守政党の支持層なのでそのバイアスはあるかもと思って読んでください)
一言でいうと
自民党の人でも民進党の人でも無所属の人でも、政策と人物の両方を見ることが大事でしょう。ノリがいいというだけで結婚しないですよね、というのと似たような話で、キャラクターや人格と政策や識見は両方見た方がいいです。
人物面のチェックポイント
人物に関しては、愛国心がある人、志の高い人、を応援すればいいと思います。
地域のことだけではなくて、国全体のことを考えてくれる人というのも重要で、国政選挙なら、「私は日本国の代表であって、高知県の利益代表者ではない」と地元の陳情を追い払ったエピソードを持つ、吉田茂みたいなマインドを持った人のほうがいいでしょう。(選挙中はあえてこういうことを言わないとは思いますが・・・)
という点以外は、「自分がこれはと思う人を押す」というのでいいと思います。
とはいえ、地元議員は中学の友達といったケースはレアだと思いますので、極端に言うと人格面に関しては、写真とプロフィールなどのみでイメージするしかない部分もあるでしょう。
政策面のチェックポイント
次に「政策」面で考えていきましょう。
政策論については、大きい視点と小さい視点の両方で評価しましょう。
小さい視点で政策を見る
まず、小さい視点のほうですが、
例えば「原発がいつまでも止まっていたら、電気代が上がってかなわん」とか、「地震対策など、安全対策が現状レベルで、原発を再稼働されたら、不安で眠れない」とか、自分の身近な所への影響から考える視点です。
消費税が10%に上がったら、「物が売れにくくなるからやめてくれ」という意見もあるでしょうし、「普段の生活費が高くなるから年金生活者には痛い」という意見もあるでしょう。こういう視点から、まず観ましょうということです。
選挙になると、政治家は「これから増税します」みたいな嫌なことは言わず、明るい話だけをする傾向があります。が、個別の政策について、この政策が実行されたら自分の生活にどう影響するだろうと予想することはできます。
例えば、正社員の解雇規制がゆるくなると、大企業の正社員をやってる人にとっては生活の安定度が下がるという大きな影響があります。ただし、転職を考えてる人や就職考えてる人には転職市場が広がるのでチャンスです。
最低賃金が上がったら、人件費を減らしたくなる企業が増えて求人は減るかもしれません。また、ファーストフード店や激安お洋服店などは値上がりするかもしれません。ただ、みんなの給料が上がる=消費が増える、ということで全体的には景気がよくなり、仕事もふえる可能性があります。
とにかく自分の半径3メートルへの影響という視点で軽く想像してみてください。携帯ひとつとっても、政府の規制が変わってくれたお陰で、SIMフリーの通信サービスがたくさんでてきて、電話代が安くなる、といったことが起きていたりします。意外に、生活密着な政治マターはたくさんあるのです。
大きい視点で政策を見る
次に、普段余り観ない視点、国防や経済設計など、大きい視点で見てみましょう。
まずはトータル的に見て
1.自分の国をまず愛する政策になっているのか?(国家観)
これが一番大事です。どんな政策であれ「自分達への愛がない」のは問題外です。
国政ですから、国単位で愛があるかが問題です。
外国への愛はあっても自国への愛がない人達が増えると、「日本語を公用語にするのをやめて、英語やチャイ語を公用語にしよう」なんて言いだす人が増えかねません。企業レベルなら英語公用語もそれはそれでありですが、国家レベルだと話が違って、植民地にしてください宣言しているようなものです。
次に経済面です。
2.「大きい政府」志向なのか、「小さい政府」志向なのか(暮らし・経済)
という話も重要です。
生活に根差した所から言うと
高福祉高負担なのか、低福祉低負担なのか、という話です。
高福祉高負担
税金が高いけど、老人ホームも学校も無料、何かあって生活できなくなったら、国からたっぷりお金がもらえる、みたいな世界が、高福祉高負担です。北欧諸国はこちらの例としてよく出てきます。
低福祉低負担
低福祉・低負担は、逆パターンで、普段の税金は安いけど、なにかあった時に国がやってくれることはほぼゼロ、という世界です。助け合いはあくまで、仲間同士とか親戚同士とかでやって、という世界がこちらです。アメリカとかこっちに近いです。
国の財源というのは私達の税金なので、国からもらえるお金が増えるということは、税金が上がるということですし、税金が下がるということは国からもらえるお金が減るということです。(実際は個別の状況で変わりますが、考え方の大枠としてはこうです。)
あとは、国防面も争点になりにくいですが重要です。軍事はそれこそ国家がやらないと他にやる人がいない縁の下の力持ち的な仕事です。
3.従来通り米軍依存度高くいくのか、米国依存度をもっと減らしていくのか?(国防)
将来的にアメリカ軍に依存しない日本軍を整備する方向性がいいのか?ずっとアメリカ軍に依存する現状方式でいくのか? という話です。この辺の視点も大事です。
国防の外国依存の割合をどうするかというのは、カンタンに言うと、若者が親元で暮らすか一人暮らしをするのか、ここで悩むのと似たような問題です。
親元にいるほうが不自由だけどカネはかからない。一人暮らしのほうがカネはかかるけど自由が手に入る、というのと似たような話です。
お金と自由と、どっちが大事か、それが問題だ、という話とよく似た話になります。
現状だと、外国軍に頼るのが短期的に見れば安上がりです。が、長期的にみたらどうなの、という話は常にあります。
>国防及び憲法9条関連で補足
なお、憲法9条の文字通り解釈をすると「軍隊をもたない」になりますが、非武装中立を本当にやる気な政治家は、おそらくほとんどいません。(旧社会党も与党になった時は、日米安保賛成に変わりました)
なぜなら、日本の地理的条件と国家規模で本当に非武装にしたら、周辺諸国の軍隊が「まってました」と四方から攻め込んできて略奪の限りを尽くす可能性が非常に高いからです。
非武装で攻め込まれた事例(アジア)
近くで言うと、チャイナの共産党政権がチベットを占領して自治区化し、現地住民を痛い目にあわせている実例が有名な所です。(だからダライ・ラマは亡命政権をたてている)
非武装で攻め込まれた事例(ヨーロッパ)
世界大戦時までさかのぼると、非武装政策で中立政策をとっていたルクセンブルクは、ドイツ軍にあっさり侵攻されました。
第二次大戦の時にヨーロッパで「うちは戦争に参加しません!」を貫けたのは、スイスなどの重武装中立の国です。非武装中立国でも戦争している国々にとって占領する価値がある国は占領されました。
重武装だと腕尽くで言う事を聞かせるわけにいかないので、自分達の意見を保てるわけですが、非武装だといざとなったら腕尽くでこられると対応ができないということです。
非武装だけど参考にならない事例(南米)
現代でも、コスタリカのように常備軍を持たない国もありますが、実質的に外国軍の保護下にある国(コスタリカの場合は米軍)なので、これを非武装と呼ぶのは微妙だと思います。
4.100年後の日本をどんな国にしたいのか?
美しい国とか、豊かな国とか、自由な国とか、そのレベルでいいので、
どんな方向性なのかをチェックしてみましょう。そこに共感できるかどうかという
基準も大事です。
政策面は個別におっていくときりがないですが、経済・国防・国家観などのほかは、自分の興味分野を1つ1つ、教育でも外交でも税制でも著作権でも、さらっと観ていけばいいと思います。
これもあまり細かいことを言うとエンドレスになるのですが、観られる範囲で観ようということです。
まとめ
人物面やキャラクター面で「応援したい人」にいれる、また、政策面で考え方や目指す方向性に「同意できる人」に入れる、というのが基本です。あと、100%で支持したい人や党はなかなかいないと思うので、「総合的に支持できる人や党」にいれるしかないと思います。
みんな仕事もプライベートも忙しいと思うので、あまり細かくチェックしていられないと思いますが、できる範囲でさらっとやるといいと思います。1人1人の1票には、確かにものすごく小さな力しかありません。ただ、小さな1票が重なると大きな変化の後押しになります。