歴史以前の超古代文明の話もロマンがたくさんですが、事実は小説よりも奇なりということで、今回はブルーバックスの「古代日本の超技術」を紹介します。考古学の成果で明らかになっている「昔の人って実はすごかった」話を集めた小品です。出雲の巨大神殿のような古代史好きには有名な話から、ちょっとマニアックな話まで。
法隆寺に釘は使われていないってほんと?
小学校の時になぜかこんなことを習ったけど、実はウソです。という話が本書にはあります。私も学生時代に同じことを習ったので「おお、そうだったのか!」と情報が一つ更新されました。
実際には、法隆寺にも釘は使われているけど「あくまで仮止め」的な使い方なので重要度が低いという話のようです。
古代鉄はさびない?
これは本当みたいです。1000年前のくぎが未だに使う事ができ、あと1000年は使う事ができる。現代の製法だとこうはいかないけど、たたらで造られた古い時代の製鉄のものはサビないのだそうです
これ一つとっても、「現代が一番技術が進歩している」という現代人の思い込みをガツーンと一発壊してくれる良い例だと思います。
ファンタジー小説で読んだ話で「銀の純度を100%にするとミスリルという魔法の金属が生まれる」という話があります。ファンタジー小説ですから話半分にきいていたのですが、純度が高くなると性質が変わるというのは実際の金属でもそうのようです。たたらで作られた和鉄は現代の製法よりも純度が高く、さびにくくなるようです。
実は、現代の技術でも超高純度鉄というものがあり、純度の高い鉄の性質として、サビや腐蝕に強くなる、などが知られています。古代人がサビ防止を目的として純度の高い鉄を作ったのかどうかは謎ですが、ある意味で21世紀を先取りする技術をもっていたということに少し感動しました
意外に昔のほうがすごかった説
孔子の世界では「失われた周王朝時代のふるいよき時代の精神を復活させよう」みたいな「昔を理想化する」ということが行われていました。これは、近代以前にはよくあった思考法です。「栄光の古代→堕落した現代」という発想です。ところで、現代ではこの発想は影響力をかなり失っています。「現代が最高である」という説が強くなったからです
ただ、確かにパソコンの技術とかを考えれば「現代最強説」は正しいのですが、個別に色んなジャンルをみていくと「意外と昔のほうがすごかった部分」というのもあります。「昔=すごい」という話を仕入れるのは、意外性を感じられることが多いので面白いと思います。