その名の通りヨガ辞典です。体を動かしたい時、体操や呼吸法的なものを求めている人には非常に参考になるでしょう。百科事典みたいなものなので、ヨガの先生でもなければ全ページをチェックする必要はなく、身体を整えたくなったら開いてちょうどよいものを探すような使い方がいいと思います。一見すると上級者向けの本に見えますが、非常に丁寧な文章なので実は初心者向きです。身体を整えることに興味がある人は、こういう本を一冊持っておくと楽ができると思います。
「優れた母親が子供を好きに遊ばせるのと同じように、感覚を自由に遊ばせておこう」 「脳は受け身にとどまって、油断なくからだを観察すべきである。脳までいっしょになってアサナを行ってしまうと、自らのまちがいを観察することができなくなる」
などなど、文章のはしばしに作者の指導者としての優れた識見と愛が感じられる本です。(アサナはポーズのことです。)
ヨガの本をもし何か一冊だけ買うというのならこれだけで十分かもしれません。DVDはついていませんが、写真は豊富で解説は非常に丁寧です。翻訳本特有の読みにくさもほとんどありません。
ちなみにヨガ体操的な世界では、「食後すぐ運動してはならない」というよく知られた常識があるのですが、二〇代の時に、「どうしてもおなかがすいたので、軽く食べてから、体操の道場」へ行ったことがあります。思いっきり 「非常に気持ちが悪く」なって、身体で 「食べてすぐは動けない」ということを体感学習しました。こんな風に、間違いがあれば「気持ち悪くなったり、気分が悪くなったり」するのが体操というものが一般に持っている特徴です。なので、「気持ちが悪いことはしない」というのは、独学ではじめる場合は特に大切にしたほうがよい心構えになります。