古事記のマンガはたくさんあるのですが、私の知る範囲では原文への忠実度が一番高いので、「古事記勉強したいけどどうしたらいいですか?」という人にはよく推薦している本です。 絵が嫌いでなければ、まずは久松文雄先生のマンガから入ることをおすすめします。第1巻を読んでみたら、ほとんど省略せずに漫画化してくれている感じが古事記ファンとしてはうれしくなりました。
原作がある映画というのは、映像化されると必ず省略される部分や人によって解釈がすごく分かれる部分というのが出てきます。古文を漫画化した場合も、人によって大きく変わってくる部分はあります。なので、この人のシリーズを読み終わったら、次は他の漫画家さんのものも読んでみると面白いと思います。例えば里中美智子先生のものも面白いです。
平行していくつかのマンガを読むとなんとなくイメージがつかめてきます。そうしたら次は現代語訳なり原文なりも読むと理解が深まります。定番はこのあたりです。
岩波文庫のこの本は、コテコテの現代語訳ではなく、古文的な雰囲気での原文訓読になっています。「書き下し文・注釈、原文(巻末)」とあるのでこれ一冊あれば一次資料(元データ)にアクセスできます。
こまかく単語の訳とかも書いてあるので、ストーリーが分かっていれば他の現代語訳は読まずにこの本だけでも大丈夫だと思います。書き下し文や送り仮名の振り方は人によって解釈が分かれる所もありますので、慣れたら興味のあるところだけ和化漢文の原文(岩波文庫のだと巻末に載ってます)にも部分的にあたってみると楽しいと思います。1冊にまとまっているのはその点で便利です。
ただし、いきなり岩波文庫に突撃していいのは高校の古文・漢文が好きかつ得意だった人だけです。そうでない人はまずはマンガから入ってストーリーを頭に入れるのがおすすめです。