古事記の中からエロスな創作に使いやすそうな話を集めました。
1.国産み神産み(上巻 イザナギとイザナミが日本の島々を産む)
女「私の身体は、くぼんでいるところがひとつある」
男「俺の身体は、モッコリしているところがひとつある」
男「じゃあ、もっこりをくぼみに入れて、大地を産もう」
女「いいね!」
(原文)
問其妹伊邪那美命曰「汝身者、如何成」答曰「吾身者、成成不成合處一處在」爾伊邪那岐命詔「我身者、成成而成餘處一處在 故以此吾身成餘處 刺塞汝身不成合處而 以爲生成國土 生奈何」訓生云宇牟 下效此 伊邪那美命答曰「然善」(書き下し文)
ここにその妹伊耶那美(いざなみ)の命に問ひたまひしく、「汝(な)が身はいかに成れる」と問ひたまへば、答へたまはく、「吾(わ)が身は成り成りて、成り合はぬところ一處あり」とまをしたまひき。ここに伊耶那岐(いざなぎ)の命詔(の)りたまひしく、「我が身は成り成りて、成り餘れるところ一處あり。故(かれ)この吾が身の成り餘れる處を、汝が身の成り合はぬ處に刺し塞(ふた)ぎて、國土(くに)生み成さむと思ほすはいかに」とのりたまへば、伊耶那美(いざなみ)の命答へたまはく、「しか善けむ」とまをしたまひき。
「入れて子供作ろう。いいよ」という非常にストレートなシーンです。これが神話に出てくる最初の性行のシーンと言えます。
神話なので象徴的に解釈することはいくらでも可能なのですが、日本神話の場合、神様は人間の先祖なので、ストレートに神の交合で大地が生まれたと読む解釈をしても特に問題はありません。
2.オオクニヌシの妻問い(上巻 オオクニヌシが根の国へ避難して嫁と出会う)
スセリ姫は、オオクニヌシと出会うや否や、
身体を重ねて男女の交わりをし、家に帰って父親に彼を紹介した。
(原文)
其女須勢理毘賣 出見爲目合而相婚
還入 白其父 言甚麗神來(書き下し)
そのむすめスセリヒメ、いでみてまぐわひて、あひまして
還り入りて、その父に白(まお)ししく「いと、うるわしき神、来ませり」
※コメント
ユリウスカエサルの 「Veni Vidi Vici (来た。見た。勝った) 」ではありませんが、「(男が)来た (互いに)見た (すぐに)やった」という感じの名シーンです。
ここは、女性から押し倒したのか男性から押し倒したのかというのが気になる所です。その後のオオクニヌシの変貌を考えると、案外「奥手な少年の側から押し倒して、上手くいった話」と解釈していいと思います。ただ、実質的にはお姫様が「上手に誘導した」可能性は否定しません。
3.ヤマトタケル (中巻 景行天皇 )
女装して女子にまぎれて宴会に忍び込んだ。
(原文)
既成童女之姿 交立女人之中 入坐其室內(書き下し文)
既に童女の姿になりて、女人(をみな)の中に交り立ちて、その室内(むろぬち)に入ります
※コメント
女装の美少年が、マッチョなおっさん二人を殺害するために宴会に潜入するシーンがあります。クマソタケルという豪傑二人を、力持ちの美少年ヤマトタケルが打ち取る物語です。
少年ダビデと巨人ゴリアテの戦いではありませんが、少年対大男的な対決です。ここでは女装して宴会に忍び込んで不意打ちで倒すという筋になっています。最後にヤマトタケルがクマソタケルを倒すシーンでは、尻から剣を突き刺すという記述もあります。これなどは、肛門性交の暗喩と妄想することができます。
古事記はせいぜいシンボリックに暗喩する程度ですが、日本書紀では「杯を挙げて飲ましめつつ、戯れ弄る (舉坏令飲而戲弄)」という身体を触り合ったと解釈するしかないだろうという記述があります。なので、クマソタケル退治は「美少年ハニートラップ」の物語であると言えます。
「BL(boys love) 」や「男の娘」などの元祖は、古事記日本書紀の時代から、千三百年の昔からあると言えるのです。
なお、日本における同性愛タブーというのは西洋の影響が強くなった明治以降に始まった発想で、昔はそういう感覚はありませんでした。史上で有名なのは、信長と蘭丸、足利義満と世阿弥(能の創始者)、藤原頼長(「台記」という同性愛セックス記録を含む資料あり)と貴族達、などでしょうか。
※最近のゲイやオカマは「同性愛専門」の人が多いようですが、ヤマトタケルも信長も義満も「きれいなお姉さんも大好き」です。別に同性愛専門というわけではありません。
4.サホヒメ (中巻 垂仁天皇)
腐らせた衣服とかつらをかぶって、捕まらないように逃げるシーンがあります。古代のドレスをきた絶世の美女に香りのよい油をかけ、スケスケミルミルで見えそうで見えない感じで美しい絵を描くと非常にエロスな絵になると思います。
5.アメノウズメ (上巻 天岩戸神話 天孫降臨神話)
天岩戸神話でアメノウズメという女神がストリップダンスをして男の神様達が大喜びして笑うというシーンがあります。(ストリップの元祖)
天孫降臨神話で、サルタヒコに女性性器を見せることで交渉がうまくいくという話があります。(見せるだけ)
こちらはストレートに性的な話というよりは、女性性器の持つ呪術的なパワーみたいな話になってます。
6.オオモノヌシ(中巻 丹塗りの矢伝説 神武天皇)
オオモノヌシという男性神が、セヤダタラヒメという美女に一目ぼれ。矢にその姿を変えて川を流れていき、川沿いの厠で用を足していた美女のホト(女性器)をついた。びっくりした美女が矢を持ち帰ったところ、
家に帰ると矢はイケメンの男性に変わり、合体して子供ができたという話があります。
(原文)
故、美和之大物主神見感而、其美人爲大便之時、化丹塗矢、自其爲大便之溝流下、突其美人之富登。此二字以音。下效此。爾其美人驚而、立走伊須須岐伎(此五字以音)、乃將來其矢、置於床邊、忽成麗壯夫、卽娶其美人生子、名謂富登多多良伊須須岐比賣命、亦名謂比賣多多良伊須氣余理比賣。(書き下し)
かれ、美和の大物主の神、その美人(をとめ)が大便(クソ)まれる時に、丹塗りの矢に化りて、その大便(クソ)まれる溝より流れくだりて、その美人の陰(ホト)をつきき。ここにその美人驚きて立ち走りいすすきき。すなわちその矢をもちきて、床のへに置けば、たちまちにうるわしき壯夫(をとこ)に成りて、すなわちその美人をめとして生める子、名をホトタタライススキノヒメノミコトと謂(い)ひ、亦の名はヒメタタライスケヨリヒメという。
※コメント
美和は今の三輪です。神武天皇が皇后を選ぶ時に、この美女(セヤダタラヒメ)の娘をお嫁さんにしています。タタラは製鉄の意味なので、映画「もののけ姫」でも登場した製鉄集団のような一族と同盟を結んだことを暗喩しているのかもしれません。
山城国風土記にも賀茂の御祭神の話として同じような話が載っています。赤い矢というシンボルから勃起した男性生殖器を連想するのはカンタンだと思います。
“参考引用文献: 古事記(岩波文庫)倉野憲司,Wikisource ,http://www.seisaku.bz/kojiki_index.html “