高校の近現代史の授業を必修にして、日本史と世界史を統合していく動きがあるようです。基本的には賛成です。例えば、近現代史は日露戦役ひとつとってもヨーロッパ側の歴史知識もないと理解しにくいので、統合して必修にするのは基本的にいいアイディアだと思います。
さて、なぜ基本的にはという枕詞つきにしたかいうと理由があります。
歴史って「織田信長が本能寺で討たれた」とか「大日本帝国憲法が発布された」みたいに学校の教科書では短い情報量な部分も、最低でも文庫本1冊、歴史番組1時間にできる程度のデータやドラマがあるわけです。
そこを学校の教科書だと分量や時間の都合でカンタンにしか書かれていないので「つまらない暗記物の時間」と受け取られてしまうことがおきるわけです。なので、単に近現代史も必修にしますというだけで時間数も確保しないと 「歴史嫌いが増えるだけでは?」というのが少し怖いなという話です。
できれば、通史は短期集中でさくっと終わらせて、あとは1テーマでいいから、学校の先生が大学で卒論を書いたようなテーマを数ヶ月かけてじっくり講義すればいいのにとたまに思います。時間的な制約はありますが、3テーマもやれば歴史に学ぶ力はつくと思います。
それこそ事実の丸暗記だけでなく、「信長が本能寺から脱出成功したら?」みたいにシュミレーションみたいなこともじっくりやると、ビジネス的な思考力や実務的な発想力の訓練にもよいと思います。
人手がないなら、信長の野望などのシュミレーションゲームでもやらせておいてレポートだけ課すという方法も考えられます。ゲームの欠点として、例えば「戦国期は全国の大名全てが、天下統一を目指していたと誤解する」などの欠点はあります。が、その種の「ゲームと史実の違い」は授業で教師が修正すればよろしいかと。それよりも、歴史にはたくさんの違う可能性があったことを認識することのほうが重要度は高いと思います。
ゲームのウソにかぎらず、網野善彦氏が明らかにした 「百姓=農民という常識のウソ」みたいな話も、教師から生徒にしてあげると教師の株も上がると思います。