書評という言葉の意味が人によって違うので、どの立位置で書くかが重要です。ひとつは、主に読前の人に「代わりに立ち読みして誰向けのどんな本かを教えてくれる=書評」とするもの。もうひとつは、主に読後の人に「本に出てきたテーマをネタに自由に語るもの=書評」とするものです。
デパ地下の店員さん的な「購入したくなる試食サービスのような記事」を目指すのか、読み終わった後の人に向けて「この本に出てきたテーマで大いに盛り上がろうぜ」的なことを書くのか、ということです。
銀河英雄伝説というSF小説があります。この中に、「権力は集中しているべきか、分散しているべきか」というテーマが出てきます。こうしたテーマについてスポットをあてて語るのをメインにするのか、それとも小説のあらすじを適度にはしょりながら書く記事をメインにするのかということです。
購入ガイド的な書評の優れた例は、
新刊.jp http://www.sinkan.jp/
などでしょう。
アマゾンのレビュー、それも批判レビューも実はこの意味ではかなり役立ちます。「どんな人が、何をツマナラナイと感じているのか」を見ることができるので、「この人が批判しているポイントは、くだらない」と思った場合は、逆に「自分には読む価値がある」と判断できるからです。
自由に語りまくる書評の優れた例は、
松岡正剛の「千夜一冊」 http://1000ya.isis.ne.jp/top/
などです。「活字を読むこと自体が大好きな人」は、松岡氏の文体が嫌いでなければおすすめです。
自分が書く時は、「購入ガイド的記事」をメインにするのか「自分が自由に語ること」をメインにするのか、どちらを中心にするのかを決めてやっていくのがいいと思います。