石田三成は関ヶ原の戦いの敗軍の将であるため、ドラマなどではよく「悪役」にされがちです。ところで、実際の三成は小人物などではなく、計数に優れるだけでなく、義に厚い人であったことが知られています。そんな三成が、秀吉に仕えるキッカケになったのはお茶だったというお話があります。
狩りをしていた秀吉が、立ち寄った寺で茶を所望しました。
1.まず、ぬるいお茶が大きいお茶碗で出てきました (八分くらい)
一気に飲んだ秀吉はお代わりをします
2.次に、熱いお茶がさっきの半分くらいの小さいお茶碗で出てきました(半分くらい)
飲み終えた秀吉は「もう一杯」とお代わりをします
3.最後に、さらに熱い茶が、高価なさらに小さい茶碗で出てきました
4.この茶の出し方が気に入った秀吉は、寺の小僧だった三成を家来に取り立てます
このエピソードは、後世の創作の可能性もありますが、気配りという点では意外に三成のキャラを素直に反映している可能性があります。
最初に、ぬるいお茶が大きい茶碗で出てくるのは、外から休憩にたちよった喉が渇いている状態で、ガブガブ飲めるようにです。
次に、熱いお茶が少しでてくるのは、喉の渇きが落ち着いたところでゆっくりと気分を落ち着けるように。
最後に、さらに少しのお茶が出てくるのは今度はお茶そのもの味や香りを楽しめるようにだと思います。
料理屋さんなどで、月に2回以上いくと、同じ「お昼の定食」でも2回目は内容が変わったりすることがあります。お代わりのたびに、器とお茶の温度が変わるのは「おもてなし」の心遣いとしても面白いと思います。
現代の飲食店でも、のどを渇かして来店した客に、手で持てないような熱い茶を小さい湯飲みに9分入れて出す、こういうお店は実は少なくありません。そんな中、三成の小話のように、まずぬるめでたっぷり(8分程度)、次に趣のある湯飲みで熱いお茶を少し、というお茶の出され方をされたらどうでしょうか。
私などは、確実に大喜びしてしまい「ここだけの話、いい店があってね」と話題にする可能性があると思います。