近代最強テロ支援国は、旧ソ連(現ロシア)とアメリカの二強です。どちらか片方を選ぶなら、旧ソ連が最も凶悪だったと思います。冷戦時代、お互いに相手側の友好国に対して、反政府活動・テロ活動・非合法活動を支援して自国に有利な状態を作ろうとする活動をたくさんやってきています。ミッションインパッシブルを地でいくスパイ大作戦が各地で行われていたわけです。
事例1 アフガニスタン
ソ連がアフガニスタンに侵攻した時に、アメリカはソ連に対抗するゲリラ組織を作って送り込みました。ソ連は最終的にはアフガニスタンから撤退したので、この事例はアメリカの勝利です。
なお、この時にアメリカが育成した対ソ連の軍事組織(ムジャヒディーン)が、後にアメリカを敵視する国際テログループ(アルカイダ)になるという変なオチがついています。
911などのアルカイダのテロはアメリカの自作自演なんじゃないかと疑われることがあります。この疑惑がささやかれる大きな理由一つは、あのテログループがもともとアメリカの情報機関が対ソ連で作った軍事組織からはじまったグループだという歴史的事実です。
事例2 ベトナム
第二次大戦以降、アメリカを後ろ盾とする南部政府と、ソ連の支持を受ける北部政府が対立していました。
ソ連側は、北部への軍事支援を行い、アメリカも軍事介入を行って南部を支援します。いつの間にかベトナム戦争がはじまりますが、最終的にアメリカはベトナムからの撤退を選び、ソ連側の支援する北部政府がベトナムを統一します。
朝鮮半島も似たような構図ですが戦争で決着がつかなかったので二つの政府がある状態が現代まで継続しています。
事例3 日本
過去に日本の共産党に対しソ連から資金が出ていた
過去に日本の自民党に対しアメリカから資金が出ていた
この辺はある世代より上の人には、言うまでも無い話だと思います。冷戦時代、その国を親米にしたいアメリカと、親ロにしたいソ連(現ロシア)の水面下のバトルは常に行われていました。スパイ大作戦の舞台になっていたのは、日本も例外ではなかったということです。
冷静に考えて見れば、日米安保反対な勢力にロシアから金が提供され、米軍基地賛成な勢力にアメリカから金が提供されるというのは、極めて自然な話です。
明治維新の時も、薩長の新政府を支援する英国と江戸幕府を支援するフランス、という構図はありました。これもある意味でスパイ大作戦と言えます。内戦が長引くとベトナムやアフガンのように強国の代理戦争の舞台になったリスクはあります。この点、さっさと負けることを選んだ徳川慶喜は実はエライ人だったのかもしれません。
まとめ
スパイ大作戦は映画の中だけだと思っていた人もいるかもしれませんが、実際の歴史ではスパイやテロリストといった人達はたくさん活動しています。教科書だとさらっと流される部分ですが、われらが日本国を含め、歴史上の大国でテロ支援を含む諜報活動をやったことがない国はほぼ皆無と言って良いでしょう。
国益のためにスパイ大作戦なことをするのは、平時と戦時を問わず国家というシステムが行う通常業務と考えても基本的には間違いではありません。日本史を見ても、戦国の昔から敵対勢力の支配地域で一揆(反乱)をおこさせるという策略は試みられてきています。
なお、軍事活動や破壊活動は、敵対する側からすると「テロ」になりますが、そうでない側からすると「正義の戦い」だったりします。
なお、日本国の視点からすると誘拐事件などをおこす北朝鮮の破壊工作はテロですので、北朝鮮はテロ支援国で叩くべき存在です。ただ、例えばアメリカがテロ支援国家と呼ぶ相手が、他の国にとってもテロ支援国家になるかといったら、必ずしもイコールにはなりません。それぞれの立場によって関係性が異なるからです。